申し入れの理由

1 本件被疑者は、2015年5月28日午後8時過ぎころ、東京都千代田区霞が関1-3-1所在の経済産業省本館正面入口前の路上で、同省が推進している原子力発電の再稼働政策などについて抗議の声を発していたところ、警視庁警察官らによって上記経済産業省の敷地内に侵入したという口実で建造物侵入容疑で現行犯人逮捕された者である。
 しかし、本件被疑者は、上記に述べたとおり、同省が行っていた原子力発電の再稼働政策などについて抗議の声を発していたものであり、仮に同省の敷地内に入ったとしても多少の時間と距離に過ぎず、これをもって同被疑者の行為が刑法130条の定める「正当な理由がないのに建造物に侵入した」に該当したと解することはできない。

2 本件被疑者を現行犯逮捕した警視庁警察官らの行為は、現在安倍政権が財界と一体となって推進している原発再稼働・原発輸出といった誤った原子力政策を正すための本件被疑者の表現活動を、禁圧しようとして行われた露骨な政治弾圧である。
 したがって本件被疑者に対する現行犯逮捕は、憲法21条が国民に保障している基本的人権を抑圧する憲法違反の違法逮捕であり、かかる違法行為は絶対に許されないものである。
 付言すれば、本件被疑者に対する建造物侵入を口実とする刑事弾圧は、2011年9月から現在まで行われている「経済産業省前テントひろば」による表現行動をも違法行為と見なして刑事弾圧することを狙うもので、この点からも絶対に許されないと言わなければならない。

3 よって、当職は、弁護人となろうとする者として、検察官に対し、本件被疑者による勾留請求を行わず、同被疑者を直ちに釈放するよう求める。

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